増加する高齢者の一人暮らしで求められるもの

高齢者の一人暮らし、いわゆる独居高齢者は年々増加しています。厚生労働省による平成30年の国民生活基礎調査によれば、65歳以上の世帯のうち単独世帯が全体の27.4パーセントというデータがあります。この割合は平成元年から見ても増加しており、核家族化の進行によって今後も増加する見通しです。つまり、これからの日本では、一人暮らしの高齢者がどんどん増えていくことが伺えます。一人暮らしの高齢者は文字通り一人きりで生活を送っているため、介護が必要になれば、基本的には介護サービスに頼る必要が出てきます。一人暮らしの高齢者が年々増加しているという事実は、社会的な介護負担が増加していくことを意味するのです。社会としての負担は増えていく一方で、少子化によって働き手の数は減少していきます。これは、大きなジレンマであるといえます。

需要が増えているのに対して、労働供給は増加する見通しがありません。ともなれば、経済システムの中での介護サービスだけでは一人暮らしの高齢者の支援は難しいのが現状です。そこで重要になってくるのが、いかにして地域社会で一人暮らしの高齢者を支えるかということです。一人きりで不安を胸に抱えている高齢者は、多く存在します。彼らの不安を少しでも払拭できるように、子供の育児を終えた世帯などにホームヘルパーとして活躍してもらうような、支え合い、助け合う社会の実現を目指す必要があるのです。地域社会が実利的な関係ではなく、家族のように心でつながり合った関係になり、温かい社会として一人暮らしの高齢者を包みこむことが期待されています。